第55回 『好意』

さて、久しぶりのコラムです。 なんとか100回までを目標としましょうかいな〜。
ライブまで、あと一週間ちょい・・・、ちょっと何かとプライベートでも忙しい時期ですが、楽しい
ライブにできるよう意識していきたいところ。
今言えるのはこの一言だけです。「楽しみにしていてください!」←おお〜っと、大きく出た〜!

さて、本題です。 雫井脩介さんという作家の「火の粉」という作品を読みました。サスペンス物
でなかなか恐い話です。
しかし、サスペンスは先が気になる連続です、読みやすく、話もけっこうおもしろかったです。

梶間勲という裁判長が、武内真伍という被告人を無実とするところからストーリーは始まります。
武内は隣人の家族一家を殺害した容疑をかけられてました。動機は「(武内が)家族の主人に
プレゼントしたネクタイを、使っていなかった」という。
しかし、事件当日の現場では武内も隣人家族と同じく、金属バットで殴られ倒れており、武内は
「警察の誘導的な取調べ」であるとして犯行を全面否認・・・。
「被告人・武内の被害の傷は、自作自演である」というのが検察側の主張ですが、裁判長・梶間勲は
「武内の打撲痕からして、自作自演は不可能、犯行の動機も希薄である」として、武内は無罪という
判決を下します。
確かに、「武内の打撲痕が自作自演」だというのを証拠する物は一切ありませんでした。
その二年後、勲は裁判長を辞め、大学教授となります。その講義聴衆の中に武内が現れます。
また、勲は、家内・母・息子夫婦が一緒に暮らせるマイホームも購入。
その隣に引っ越してきたのは、なんと武内・・・。偶然なのか・・・。 武内は時に梶間家を親切に
助け、手伝い、次第に梶間家に溶け込んでいきます。
しかし、武内が来てから、梶間家に奇妙な事件が起こる事になったのも確かです。
勲、そして息子の妻である雪見は武内に不審感を抱くようになります。
調べていくと、武内は「好意を裏切られると、異常な怒りを発する事が過去にあった」「自傷壁
(自分で自分の体を傷つける性質がある)」という事が発覚します。
そして、武内を無実にしたあの一家殺害の事件・・・、今まで証拠が出なかった「金属バットで
武内自身を傷つけたトリック」も勲は知ってしまう・・・、まさに最悪の事態。

自分の好意を無にされ、怒り、そして犯行・・・。
武内のような人物は「異常人物」としてもちろん捉われるでしょう。 しかし、「心のどこかで
その気持ちは分からなくもない・・・」と解説では述べてます。 

なるほど、確かに武内までいくと異常ではあります。
しかし、「こんな好意をした自分を受け入れて欲しい、分かって欲しい」、「なんでこんなに
愛してるのに報われないのか・・・」、「なぜ仕事をこんなにこなしてるのに、評価されないのか・・・」、
人間、少なからずそう思ってしまうのも事実だと思います。
それが人間らしさ、と言われればそうかも知れません・・・。

「努力したら報われる」、報われて欲しいですね。そう信じたいです。
しかし現実は・・・? 人に親切にしてる自分がいてます。時に「何の為に俺は人に親切をするのか・・・?」
少しでも見返りを期待する自分が嫌になる時があります。

ある本を読んでると、素敵な話を目にしました。
赤ちゃんが生まれた夫婦、親孝行をテーマに話してた母の言葉で、「親孝行ね〜、元気に生まれて
きてくれたこの瞬間、それが既に親孝行て言えるんじゃないかしら。
元気な子供を授かった喜び、これから名前をつけたり、これから運動会や児童参観、しばらく
この子の成長を見守れるという喜び・・・、そういった喜びを感じさせてくれた事がもう既に
親孝行よ。
その喜びがあれば、特にこれからの親孝行なんて必要ないと思う」、
・・・背筋が凍るような素敵な事やと感じました。
全体的な考え方も立派なんですが、俺が注目した一つのポイントは「喜びを感じさせてくれた」、
この言葉です。

違う項目でもこんな話がありました。 これは前述の「喜びを感じさせてくれた」という話にも
つながると思います。
要約するとこんな感じですかね・・・、好意、何にしても自分勝手にしている事であり、それに
よって何か見返りを期待するのも勝手と言えるもの・・・。
「こうしてあげた」のではなく、「こうさせてもらっている」。
「親切にしてあげた」のではなく「親切な心を持たせてくれた」。
「愛してあげた」のではなく、「愛する気持ちにさせてくれた」・・・、感謝して何かをさせて頂く。
好意的な気持ちにさせてくれてありがとう・・・。

とっても難しい事ですが(笑)、そんな考え方もいいかもしれませんね。  



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